これまでに「人の意見や考え方がその人が持つ情報から構成されていること」を整理してきました。
(参考記事1、参考記事2)
今回はこれらの人間の意見や考え方、つまり「思考」について考えることが、自分自身が学ぶことの意義を見出すことに繋がり、学ぶ意欲を高めてくれることについてご紹介したいと思います。
本記事で必要な過去の内容は本文中で扱うため、気にせず読み進めていただいて差し支えありません。
(※詳細な参考文献は各記事をご参照ください。参考記事は末尾にも記載しています。)
本記事の要点
先に要点をまとめてしまいましょう。
本記事でご説明する内容の背景にある考え方としては次の2点です。
- 自分や相手の意見や態度などは、各自が持っている問題への理解や選択肢などが背景にあること
- 相手を理解するためには、相手が見ているものを自分が把握できることが重要であること
これらは過去の記事で扱ってきた内容の要約でもあります。
この2つから、本記事では学ぶことが次の2つの点で自分の役に立つと考えられることを主張します。
- 多くの考え方や手段を知ることで、自分の問題理解度向上や選択肢の充実が期待できる
- 「自分が知らない相手が知っていること」を減らすことでより正確な他者への理解が期待できる
つまり、学ぶことで「自分自身の向上」および「相手への理解の向上」が期待できます。
具体例で考える
要点はここまででご説明したので具体例を考えていきましょう。
ここでは「自分自身の向上」と「相手への理解の向上」に合わせて、
「自分自身のための学習」と「相手への理解のための学習」として整理していきます。
自分自身のために学習する
「自分自身のための学習」についてはあまり細かな説明は必要ないかと思います。
例として、友人の誕生日プレゼントを用意する場合を考えます。
プレゼントは自分の知っている範囲から選ぶしかありません。
良いものを選ぶためには調べたり、人に聞いたりすることが多いと思います。
そのために普段からアンテナを立てておくこともできます。
いずれにせよ、自分の引き出しを増やす必要があり、それは自分自身の向上といえます。
仕事でも同様で、アイデアの源泉は自分自身です。
問題解決の良案を見つけられるか、あるいは知っているかもまずは自分自身。
他者とのコミュニケーションの中で新しい何かが生まれる場合も、お互いが持つものがあるからこそ。
普段から自分自身を磨くことが良い結果を出すことに繋がります。
以上のように、自分自身の引き出しや物事の解像度を捉える重要性を考えると、学ぶことの意義は自然に見出すことができると思います。
相手への理解のために学習する
相手を理解することに関しては、具体例を2つ挙げます。
(1)友達と遊ぶ予定を調整する場合について
1つ目は簡単な例として、友達と遊ぶ予定の調整を考えます。
お互いの好み、選択肢、制約条件、そもそも「遊ぶ」をどう捉えるかなどの点で標準的な課題です。
「お好み焼き屋さんに行こう」と提案して良い反応が得られなかったとしたら、相手は最近行ったばかりだったことが分かるかもしれません。遊園地のアトラクションに得意不得意があるかもしれません。
この場合は、相手の好みや最近の動向などが学ぶべき(知るべき)情報になるでしょう。
相手に対する学習により、相手のことが理解できない状況を回避することができます。
もちろん、選択肢を増やすための自分の学習(というか情報収集)もあった方が良い場面です。
(2)経験値が高い人と低い人とのやり取りについて
2つ目はありがちですが、仕事における経験値が高い人と低い人のやりとりを考えます。
ある取り組みに対して経験値が高い人は、過去の経験や知識を活用することができます。
時間がかかってしまう部分や良いやり方・悪いやり方などがよく見えている状態です。
一方で経験値が低い人は相対的に知見が少ない状態です。
他の人の過去の経験を知っていても、実際に直面してはじめて理解できることもあるでしょう。
例えば、「新製品の売り方に関するアイデア出し」では次のような図のような状態になります。

このような状態だと、経験値の低い人が考える「このやり方が良い」と経験値の高い人が考える「このやり方が良い」は大きく異なる場合があります。
そして、情報量が少ない経験値の低い人の視点では、「なぜそのやり方を良いというのかが理解できない!」と感じてしまうことに繋がる場合があります。逆にその背景を知ることで「なるほどそういう考え方があるのか」と腑に落ちた経験があるかも知れません。
このケースで経験値の低い人が学ぶべきことは、熟練者が何を知っているかです。
相手が知っていることが理解することで、相手の意見を納得感を持って眺めやすくなります。
現実で役立つ場面
相手が知っていることを理解することは、現実で役立つ場面が多いです。
例えば、就職面接の場合。受験者は様々な準備を行うと思いますが、「合格したい」と思ったときには「どういう人が採用されるか」「採用する側は何を見ているか」は重要です。
企業や担当者によっても違うかもしれないので、常に正しい情報が得られるわけではありませんが、相手の思考を理解すること、その差を埋めるという点ではわかりやすい例だと思います。
他にも仕事上の知識や政策をはじめ、何かしらの意思決定が行われた際に背後にあるロジックをなるべく正確に理解したいとき、相手が知っていることを自分が知っていることは大きな助けになります。
学ぶためにどのような行動を取るべきか
最後に、学ぶ意欲が得られたところでどのような行動を取るべきかについて記述します。
単純な回答ではありますが、基本的には「自分が知らない考え方を知るための行動を取る」のが正解だと思います。
例えば、書籍、雑誌、動画、人から聞く、足を運ぶ、テレビ、インターネットなどでしょうか。
重要なポイントがあるとすれば、取るべきアクションは誰かから与えられるものではないことです。
自分が知らない何かを相手は知っているから思考の違いが埋められないのだな、と気づいたときに差を詰めるために行動は自分から生み出すしかないことも多いはずです(もちろん教えてくれることもあります)。
差に気づくことはもちろん、適切な行動を取れるかどうかも大きな違いを生み出す部分です。
逆に、アイデアや手段が自由に使える場において、自分から学ぶことなく受動的に与えられた情報だけで、さまざまな情報に触れて自分のものにしている人と競うのは厳しいのではないかと思います。
もちろん、必要な情報を他の誰かに提供してもらえる場合はその限りではありません。十分な情報があるのであれば問題なく競えると思います。但し、この場合も情報提供が受けられる体制がなんらかの形で形成されていることには留意が必要でしょう。
まとめ
本記事では、人の思考について考えることが学ぶ意欲を高めてくれることについてご紹介しました。
本記事で扱った学ぶことで得られる効果をまとめると、次のように表現することができます。
- 自分自身が持っている問題への理解度を高めたり選択肢を増やすことができる
- 相手の意図や選択肢、考え方への理解度を高めるためことができる
つまり、学ぶことで「自分自身の向上」および「相手への理解の向上」が期待できるということです。
人の思考体系と人の知見の役割を考え直すことで、学びの価値を再発見できたのではないでしょうか。
本記事の内容はごく一般的な話でもあると思いますし、普段から行われている方も多いと思います。
しかしながら、この考え方をはじめて知ったり、あるいははじめて明確に認識された場合には、自然に知りたいと思えることが増え、人生がより豊かなものになるのではないか考え本記事を執筆しました。
もちろん、これらは学ぶことの意義や面白さのごく一部でしかありません。
しかし、学びたいことが見出せていない場合は一度考えてみていただければ役に立つかもしれません。
特に、「相手のことを理解するために視野を広げ、より多くを学ぶ」という考え方は、自分自身の世界を大きく広げてくれるものだと思います。
学ぶことの意義や自分なりの楽しさを見出すにあたり、この考え方が一助になれば幸いです。
関連記事
今回の記事は過去の記事をベースにしているので、過去の記事をご参照いただければ幸いです。
参考文献についてもそれぞれの記事、特に1つ目の「自分の意見は自分が知っている範囲で構成した意見に過ぎないことを共通認識にしたい」をご参照いただければ幸いです。