仕事の場では部下や上司、他の部署の人などさまざまな人に質問することがあります。
質問する際に聞き方を意識している方は多いと思いますし、逆に質問される側の立場でも良い聞かれ方や良くない聞かれ方があるのではないでしょうか。では、「良い質問の仕方」とはなんでしょう。
この記事では主に部下から上司への質問を想定し、「良い質問の仕方」を考えていきます。
仕事に限らず勉強などでも使える考え方なので、これを機に是非考えてみていただければ幸いです。
この記事での「良い質問の仕方」
「良い質問の仕方」と言っても色々あると思いますが、この記事では質問者の成長を念頭に、
「回答を質問者が自分の力にしやすい質問の仕方」とすることにします。
(「相手の思考を広げる」など様々な答えがあると思いますが、本記事では限定しています。)
では「回答を自分の力にしやすい質問の仕方」とはどのようなものでしょうか。
それは、「何が分からないかが明確な状態で質問すること」ではないでしょうか。
何が分からないかが明確であれば、得られた回答を自分の思考プロセスに反映しやすいためです。
また、分からないことが分かっていれば、質問する必要があるかどうかも吟味されていると思います。
質問をする側・される側の思考の整理
なんらかの質問がなされるときに質問者と質問された人は、どのようなことを考えているでしょうか。
よくあるのは次の状態ではないでしょうか。
- 質問する側は「分からないから聞きたい」「答えが欲しい」と考えている
- 質問される側は「同じ質問を繰り返さないように」「相手の成長を促したい」と考えている
特に上司と部下の関係ではこのようになりがちで、考えが合わずストレスになる場合があります。
少し深堀りしてみましょう。
上司の期待と部下の期待の整理
質問をする側とされる側について、特に部下と上司の期待を再度整理します。
上司の期待としては、次の3点が挙げられます。
- 自分で考えて分かることは自分で解決してほしい
- 同じ質問は二度としないでいい状態にしてほしい
- 部下に成長してほしい
一方、部下側からの期待は、次のものが多いと思います。
- 答えを教えてほしい
- 何をすればいいか教えてほしい
以上のずれがあるため、部下側からはあの上司意味分からん!となることがあると考えられます。
上司側も質問は歓迎していることが多いと思いますが、考えてから来てほしいところでしょう。
こう考えると、お互いの気持ちが理解できるのではないでしょうか。
「自分で考えて自分で解決できること」が理想であることを共通認識とするのも良いと思います。
「なんでも質問してもいい」と「自分で考えろ」問題
少し横道にそれますが、「分からないことを明確化すること」と関連する話題に触れたいと思います。
それは、『「なんでも質問してもいい」と言われたから質問したら「自分で考えろ」 といわれた。意味がわからない。』といった話題に関してです。
表面上矛盾して見えても、文字にされていない条件を埋めれば特に矛盾しないので、文章として整理しておきたいと思います。
なぜ矛盾しないか
この話で文字にされていない条件は「自分でできるところまで考え尽くしたかどうか」だと思います。
つまり、「なんでも質問してもいい」については、
「(自分でできるところまで考え尽くしてからなら)なんでも質問してもいい」
そして、「自分で考えろ」については、
「(自分でできるところまでまだ考え尽くされていないのでそこまでは)自分で考えろ」
というのが上司側の発言の裏にあるものではないでしょうか。
そして、「自分でできるところまで考える」のは「何が分からないかを明確にする」のとやるべきことは同じです。結局、質問する前に考えてきてくれというのが上司の本音ではないでしょうか。
「良い質問の仕方」を実践するためにやるべきこと
最後に、良い質問の仕方を実践するにあたりやるべきことを整理しましょう。
質問する前にしておくこと
まず、質問する前にやっておくべきことは次の3点です。
- 何が分からないかを明確にしておく(何が分からないか分からないときについては後述)
- どこまで分かっているかを明確にしておく(一つ目の項目の裏返し)
- なぜそこが分からないかの理由の候補を準備しておく
つまり、質問する側には「不明点を明確化し、整理しておくこと」が期待されているといえます。
不明点の明確化・整理のための具体的なアクション
分からない点を明確にするには、次のアクションが有効です。
- とにかく分かっていることを書き出すこと
- 何をしなければならないか / 何が必要かを確認すること
- なんのための行動かを確認すること
具体例: イベント会場の予約の場合
具体例として、あなたが社内外の人が集まるイベントの会場の予約をするケースを考えましょう。
今回は「予約をしないといけないという情報だけしか知らない状態」がスタートであるとします。
はじめは分かっているのは「予約すること」だけです。
この情報を起点に、「分かっていないこと」を洗い出していきます。
何をしなければならないか?というと「予約をすること」なので、「予約をするために必要な情報」が必要であることが分かります。具体的には次のようなものが挙げられます。
- 日時
- 場所
- どこに連絡するのか
- いつまでに連絡しないといけないか
他にもあるかもしれませんが場合によりますのでここまでにしておきましょう。
あとはアクションするために必要な情報を埋めていくだけです。
まずはこの中で自分が知っている範囲・調べればわかる範囲は埋めてしまいましょう。
次に、仮説や可能性がある部分は候補を出したり、考えるポイントを整理しておくと良いです。
例えば日時の場合は「来週の金曜日か再来週の金曜日どちらが良いか」「全員が参加しやすい日取りが良いか」などでしょうか。
ピンポイントで日付を出す場合もあれば、候補を考えるために必要な材料を明確にできれば検討や判断の役に立ちます。
ここまでで十分に検討ができていれば、残りはおそらく自分が判断できない部分です。
そのため、質問をして上司に怒られることはあまりないかと思います。
この状態であればアイデアをもらったり指摘されることがあった場合も、今後に活かせるように自分の引き出しに追加するのも容易ではないでしょうか。
まとめ
「良い質問の仕方」とは「回答を自分の力にしやすい質問の仕方」であり、「何が分からないか明確な状態で質問すること」である、という話でした。
書いてみると当たり前の話にも思えますが、実際に習慣になれば自分自身の能力を高める際にも役に立つ、非常に有用な技術であることを実感いただけると思います。
仕事に限らず勉強でも活用できますので、是非普段の暮らしでお役立ていただければと幸いです。